電話帳から捜し出した名前。

別に遠慮なんかいらないはずなのに、やっぱりかけにくい・・・。

自分の家なのに・・・。

去年の今頃は、家を出る事しか頭になかったのに。

今は帰りたくて仕方ない。

でも迷ってるのも確かで・・・帰っても何を話せばいいのか解らないから、このままチャ太郎と年を越すのも悪くはない。

でも。

此処でこのまま過ごしたら、俺は何も変われない気がする。

前の俺なら、きっとこんな事考えもしなかったはずなのに・・・。

自分でも驚く程に、自分が変わった気がした。


「なあ、チャ太郎。・・・行ってもいいよな?帰ってもいいよな・・・?」


俺の腕の中で落ち着くチャ太郎をギュッと抱きしめ、俺は携帯電話の発信ボタンを押した・・・。

まだ遅くないと、信じて・・・。