「黎、あたし、ヴァンパイアになりたい。そうしたら、黎が満たされるくらい血をあげられるんでしょう?
あたし、人間として生きたいなんて思ってない。
人間でも、ヴァンパイアでも、なんでもいいから、黎の傍で、黎のために生きたいの」
「クレハ……」
「どうすればいい?どうすれば、ヴァンパイアになれるの?あたし、何でもするよ。だから、お願いだから、教えて──」
クレアの言葉が終わるか終らないかのうちに、気付けば彼女の唇を自分のそれで塞いでいた。
はじめはびっくりしたように身体を固くしたクレハだったが、少しするとおずおずと俺の背中に腕を回し、相変わらず不器用にキスに応えてくれる。
……1ヶ月も一緒にいて、その間に何度唇を重ねたか分からないのに、彼女はいつまでたってもどこかぎこちなくキスを返す。
その拙さが余計に愛しくて、止められない。
俺はキスの後、ふわりと彼女の身体を持ちあげて、ベッドに優しく落とした。
視線をドアの方に滑らせると、いつの間にか美紅の姿はなく、部屋のドアも閉められていた。
……気を遣って出ていってくれたのだろう。