「……不味くても、吐き気がしても、飲んで。あんた本気で痩せすぎよ」
「そんなことない」
「いいから!!」
そう言って、美紅は俺を頭ごと抱きかかえるようにして、自分の首筋に俺の口を当てた。
仕方なく、彼女の血を口に含む。
「う……っ」
その血が舌に触れるたびに、ビリビリとまるで身体がその血を拒否するかのように痛みが走った。
それでも我慢して飲み込めば、どうしようもなく吐き気がする。
「……頑張ったわね」
ヴァンパイアの血であれば、人間のそれより少量で空腹が満たされる。
美紅がヴァンパイアで助かった。
本当に飲んだ血を戻してしまう前に、美紅は俺を解放してくれた。
「でも、どうしてかしら……。試しにこっちの女の血も飲んでみたらいいわ」
「……そうする」
胃のむかつきを抑えて、俺は頷いた。