「りんさん、こっち向いて! とっても綺麗ですね!」


食卓にパシャという連続音と共に携帯のライトが点滅する。


「綾? 何してるんだ? 止めなさい」


私はお母さんの最後の形見の携帯を握りしめていた。これだけは破壊されず、事件現場に転がっていた。


バッテリーも取替え丁寧に扱った。最後に電話を掛けた、この番号は誰だったんだろう?


警察によると、使われていない番号らしかった。


「だって美人なりんさんの顔や、美味しい豪華な料理を、思い出に撮っておきたかったんだもの。

写メは駄目なの? お父さん?」