自宅へ戻り、そっと玄関を開いた。リビングは静かで物音が感じられなかった。


――いない。夕飯の買い物かな?


念の為に階段をそっと忍び足で上がり、父とりんの部屋の前で聞き耳を立てる。人の気配すらしない、無音だった。


思い切って扉を開いてみると、やはり誰もいなかった。人がいた暖かさもない。早くに出かけたんだろうか?


ほっと、安堵の溜め息が出た。


最近のりんは情緒不安定で怖い部分を秘めいる。


――溜め息を吐くなんて、駄目だね……もう戦うと決めたのに。怯えちゃ駄目!


扉を閉じ、自分の部屋に戻った。


「ゲーム、ただいま! 早く帰ってきちゃった。学校は毎日暗くて嫌なんだー」