「……はい」


この苦しみから逃れられるのならば。


大嫌いな女を差し出すだけで、この闇から脱出できるのならば……。


――私はきっと、悪魔と取引をしてしまったんだ。


「くくく……それは、それは楽しみだねぇ? 北海道へ行くのが惜しくなったよ。だけど一日の我慢だ。

直ぐに帰って来る。それまで、りんさんと父親の仲を引き裂くように頑張るんだな。

それとるい。あの男も許さないぞ? 君に手を出すとなれば、僕は黙っちゃいないよ?」


「……分かったわ」