「どういう意味だい? 先生は力なんてない。ただの教師だよ」


振り返った体を元に戻し、黒服を纏った猿田は歩き出そうとした。


「先生、りんさんの事を気になっているでしょ!」


ピクリと微妙に反応をし、立ち止まった。


「なにを言ってるんだい? 私には分からないよ」


黄ばんだ黄色い歯が見え隠れした。うっとする口臭に耐え忍ぶ。


「私、先生に協力するよ。りんとの事……」


「君は母親を売るのかい? そういう提案は好きなほうだが」


「りんに興味があるんでしょ? 違うの? ……その変わりに、私にその権力を頂戴!」