「お前ら、何を盛り上がっているんだ? 曜子が亡くなったばかりなんだぞ? これだからガキは……」


――猿田だ!


生徒達は急いで席に着いて、前を向く。


社会、学校、世の中……弱いものを虐め、強いものに媚を売る。そんな人間達で、全てが埋めつくされているんではないかと錯覚する。


それは誤り? ……錯覚、幻想じゃないんだ。これが真実。


残った力で立ち上がり、フラフラと席に着いた。両手で顔を隠し机に伏せた。


涙を流す姿を誰にも見られたくない……この雫を止めたいのに、とめどなく流れる。


まるでブレーキが壊れた、自転車のように車輪は回転し続けた。


「綾。そう言えば曜子が死ぬ前に変な事を聞いてきた」