外は閑静でいつもと変わらなかった。電柱の明かりが微かに道路を照らしている。


――誰もいない……?


確認をする為に玄関から出る事にした。靴にそっと足を踏み入れ、前屈みに静かに扉を開いていく。


――なんだ、誰もいない。気のせいだったのかなぁ。


「綾ちゃん。包丁を持って何しているの?」


突然の声に驚き、怯えながらもそっと振り返った。


「な、なんだ……聡子のお父さん! びっくりした! 驚かさないで下さいよ! 何しているんですか?」