今日はもう3月に入る。この季節になると部活でお世話になった先輩へ色紙をかくことになっている。私以外の女子は1年生を含め全員が色紙を書き終えていた。私は委員会が忙しかったので最近は部活の最後にしか顔を出すことができずに何も色紙を書いていなかった。
久々に委員会もなく初めから部活に出ることができた。先生が理科室を借りたので中でのトレーニングを抜けて理科室へ行った。当然誰も理科室にはいなく一人で色紙を書き始めていたときだった。

「ガラッッ」

理科室のドアが開いて私の目に飛び込んできたのは赤い上靴。
赤い上靴って・・・2年生?
そう思ったと同時に見上げると背が高い。

「直っ!?」

「お前一人?」
「そう・・・だけど?」

突然目の前に座っている直。私は心臓が口から出そうなくらいドキドキしてた。
このままずっと時間が止まればいいのに。

もう何話したか自分でもわかんない。
だけど・・・ずっと二人で・・・。

美菜のことなんて忘れてしまいそう。


家に帰るといつも通り直からメールがきていた。

[ねぇ葉加奈きいてー?]
[どうしたの?]

葉加奈がさりげなく定着してきているのがちょっとうれしかったり・・・
今日のことを思い出してたりしていた。・・・

[あのさ、美菜のことなんだけどさ・・・]

私の期待していたことが一瞬で砕けてしまったようだった。

[うん。どうした? なんか相談?]

心の中では美菜なんかいなくなっちゃってほしいとか、ひどいことばっかり思ってるのに・・・思ってるのに直の前ではいい人みたいに振る舞っている私は最低だ。そうわかっていても、どうすることもできない・・・。

[俺さ、美菜のこと嫌になってきたんだよね・・・]




・・・・え?




[何でいやなの?]

心の中の言葉をそのまま打ってしまった私。
内心期待していたのかもしれない。

[なんか怖いし・・・。w]
[別れるの・・・?]

私は別れてほしかった。

・・・だって好きだから。

[どうしよう。別れたいけど・・・。んーw]
[別れるなら別れるではっきりしたほうがいいんじゃないの?]
[だよね。w どうしよう。]

迷っている直の話を聞くのがつらい。別れないのかな。

[いやなら別れろ。好きならそのまま付き合ってろ。]

私は直に変なこと言ってる・・・。
ただ別れてほしいだけ。
私が自分勝手なだけなんだ。言い方を変えているだけで・・・。

[お前に話してよかったわw 考えてみる。ありがと。]

私はそんなつもりで言ってないのに。
自分勝手で最低なやつなのに。

どうしてそんなこと言うの?

私そんないい人じゃない・・・。