中に入ると、小さなソファーと大きなベットしかないシンプルな部屋だった。

柚「ごめんなさいね、こんな遅くに…」

彼「いや……あのさ、ここ…?」

柚「私ね、もう長くないの。病気でね、前までは何も怖くなかった。……………学園も辞めてずっとドレスだけを作っていたのよ…高橋がこの学校に入れてくれてね……そこであなた達と出会ってね………」

彼「柚姫………」

柚「私…………彼方の事…」

ガタッ……

気がついたら俺は柚姫を抱きしめていた……

彼「俺…柚姫が好き…柚姫………」

柚「私が………死ぬまで…一緒にいてくれる?」

彼「…………ずっと一緒にいるよ…死ぬなよ…」

柚「ふふ……ねぇ…彼方…私の本当の名前……」

彼「えっ?」

柚「柚姫って私の社交界としての名前なのよ。外での名前。今は高橋にもそう呼んでもらってるけどね……彼方には……その名前で呼んでほしいの…」

彼「うん……なんて?」

柚姫「桜庭……桜庭…七海よ………」