嘘でしょ…。何で…?

「そ、なんだ。いつから?」
「入学式の時からかな?一目惚れ?」
「へぇ…。が、頑張って…ね」

言えなかった…。あたしも好きって。ライバルだねって。

「あっ、こっち見たぁ☆」
まーちゃんは、そんな事知らずに倉谷君にメロメロ。

「本当だね…」

今すぐ泣いてしまいそうになるのを抑えるように上を向いた。

「本当カッコイイ!でも、彼女持ちらしいね…」

嘘…?今日は傷つくことばかり。
もう、泣かないなんて無理だよ…
こんな弱虫な自分大嫌い。

「グスッ…」
あたしは誰にも気付かれないように、そっと涙した。

とうとう、あたしの自己紹介の番がやってきた。

「中田比奈です。吹奏楽部に入ろうと思っています。趣味は、音楽を聞くことです。」

なぜか、頬を濡らしていた涙は消えて、いつもの笑顔で話すことが出来た。

「比奈ぁ!!自己紹介上手だねぇ〜。」
「まーちゃんも上手じゃん!」
そんなこと言ってたけど、全然自己紹介聞いてなかった。

結局その日の数学は、自己紹介で終わった。