俺はじっくりと紫苑の言葉に耳を傾ける。
「知ってるかもしれないけど、私には玲央っていう幼なじみがいるんですよ。
私、玲央のことが小さい頃からずっと好きでした」
「………うん」
「でも玲央にフられちゃうのが怖くて。
告白なんて、私には絶対できないって思ってました。だけど……お姉ちゃんが教えてくれたんです」
「………ん」
「今、生きていられる事が奇跡だって事とか。何歳に死んじゃうか分からないんだよ?って事とか」
………俺は何も言えなくなった。
苦しくて苦しくて、心優の優しさが愛しくて。
もう一度、もう一度だけでいいから、その優しさに触れたくて。
「お姉ちゃんのおかげで、私、今とっても幸せです」
大粒の涙を流しながら笑う彼女は、本当にキレイで。
強いなって、さすが心優の妹だなって思った。