「……よかった。世界で一番大好きな人に愛されたお姉ちゃんは、世界で一番の幸せ者だね」
少し俯きながらにっこりと微笑んだ紫苑。
「お姉ちゃんって、どんな人でしたか………?」
投げかけられたひとつの問い。
迷うことはない。
俺の好きになった心優が、ありのままの心優だから。
「心優はその名前の通り、心から優しい女の子だったよ。自分がどんなにつらくても、相手の幸せを願ってあげられる。
そんな純粋な心を持った、素敵な人だった」
「…お母さんと一緒のこと言ってる…。
お姉ちゃん、私のこともその優しさで助けてくれたんですよ…」
俯いていた顔をあげ、今度は俺を見て笑う紫苑。
頬にくっきりと浮かぶえくぼが、心優みたいだ。