ホッと胸を撫で下ろした瞬間、息が詰まって喉のほうがじんわりと熱くなってきた。
苦しい、苦しいよ………。
「う………、ごほっ…、くる、し、うぅ」
だんだんとこうちゃんの顔が薄れて、視界から消えていく。
苦しさが胸まで込み上げてきて、喉だけじゃなくて胸までもがじんわりと熱くなってきた。
「心優!おい、しっかりしろ!おい!心優………頑張れ!起きろ!」
呼吸ができなくなってくる。
でもまだ、死ねない。
あなたにまだ、大切なことを伝えてないから。
「心優!おい!……………心優!」
…………こうちゃん。
全ての神経と残りの気力を、声に捧げた。
どうか、あなたに伝わりますように。
「せか、いで………い……ちば、ん………
し、あわ、せ………な、て」
あなたの幸せを、一番に願います。
誰よりもそばで、見守ってます。
大好き。………大好きだよ。
「…………み、ゆ!……………………ゆ……」
声がすーっと飲み込まれていくように消えていく。
私の世界から完全に、音が消えた。
それからまもなくして………大好きな人の顔も、私の視界から完全に消えた。
…………光希。
たくさんの愛情をくれたこうちゃん。
たった一年間だったけど、あなたを愛し、あなたに愛され、幸せでした。
とってもとっても、幸せでした。
遠くなっていく意識のなか、懐かしい光景が浮かびあがる。