「と・く・に・三野な!」
「えっ…翔大くん?」
「……」
「蒼っ?」
「……」
「蒼…?」
どんなに名前を呼んでも反応してくれない蒼。
…な、なんでぇ…?
あたしなんか…しちゃった?
「あ…おぉ…」
「あー、泣くなって」
「…どうして…無視…するの?」
蒼の行動、言動で振り回されてるあたし。
一喜一憂しちゃってるよね…。
「なぁ、沙耶」
「…なぁに?」
「俺、他の女子のやつら名前で呼んでいー?」
「…えっ」
「呼び捨てで」
「……っ」
…そんなのやだ。
結愛と小夜とあたしだけでいい。
他の女子…呼んでほしくない。
そう思うあたしは…最低だ。
「や…だ…」
「……」
ニヤニヤしてる蒼。
…なに?
今ニヤニヤする要素あった!?
ないよね?…全くないよ。
「俺もやなんだけど?」
「…へっ…?」
「沙耶が、俺以外の奴を名前で呼ぶの」
「…蒼っ…。でもあたし…最低だよね」
「別に普通だろ。…沙耶が最低だなんて誰も思わない」
なんでかな?
蒼の言葉は不思議だね。
いつもあたしを助けてくれる。
…やっぱり蒼しかいない。
蒼…大好きだよ。