「…ったく、なに泣きそうになってんだよ」
「蒼がぁ…」
「はいはい、悪かった」
「…うぅ…」
本当にあたしなに泣いてるんだろう。
でもさ…でも…天然はないよ！？
しかも“バカ”って言われた…。
「…可愛すぎんだよ、沙耶は。」
「……へっ//！？」
なななにその不意打ち//！
…もう…。
そんなこと…言わないでよ。
「なぁ沙耶？」
「なぁにっ？」
「…ちゃんと、聞いてくれよ」
「聞くよー、なーに？」
「…俺、好きな奴いるんだ」
「……えっ」
…好きな人？
そんなの…聞いたことないよ？
やだよ…そんなのやだっ。
好きな人がいるなら…あたしがどんなに思ってもだめでしょ？
そんな悲しいの―…嫌だよ。
「…そいつ…」
「やっ…聞きたく、ないっ…」
「…沙耶に、聞いてもらいたい」
「やぁ…っ…」
蒼の好きな人の話なんか聞きたくない。
――でも聞きたい。
心と頭が矛盾する。
…わかんない…わかんないよ。
「沙耶が好きなんだよ…っ！」
「……ふぇ？」
「あーもう、そういう顔する」
「…う、そ…でしょ？」
「嘘じゃねぇよ。…好きなんだよ、お前が」
「あっ…蒼ぉ〜…！」
「…返事、は？」
「あたし…もっ…好き！」
「…マジで？」
「うんっ…」
あたしをギュッと抱き締める蒼。
…あたし今、幸せだ。
蒼…大好き。
「沙耶」
「…うん？」
「俺、結構独占欲強いから…仲良くすんなよ？」
「へっ？…誰と？」
「はぁ―…」
「蒼っ？…ひゃっ//」
抱き締めた腕を離してあたしの頬を撫でる蒼。
…あ、蒼？
憂いを帯びた瞳。
な、なに？
て…てゆうかなんだかキケンな感じ//
「蒼…//？」
「他の男と仲良くすんなよ？」
「えっ…どうし―…んっ//」
不意に重なった唇。
…に、２回目のキス//
不意打ちが多いよ//
「…はぁ…」
「仲良くしたら、キスするよ？」
「わ、わかった//」
そんなにキスされてたら身が持たないよっ//
…倒れちゃいそう。
