「…つかなんで治安なら沙耶なんだよ?」

「沙耶はちょこちょこアメリカ行ってるから」

「へー。んでアメリカ行くんだ?」

「…は、半年ね」

「なんだ、すぐじゃん」

「聖也バカなの!?半年も会えないんだよ!?」

「ゆーあ。…電話とかあんだろ?」

「…電話、出来ないって…」

「はぁ!?」

「…大丈夫。半年くらい」

「冷たいなぁー、蒼」

「…半年、苦しみながら沙耶の帰り待っててやるよ」

「く、苦しみながら…?」






苦笑いする沙耶。

…そうさ。

苦しみながら待ってる。

苦しみたくなくたって苦しむに違いねぇ。

沙耶が隣にいないなんて…。








「蒼、彼女出来てたりして」

「…できねぇーよ」

「えー!出来そうだよね、結愛!」

「ないよ、蒼斗はもう」

「ゆ、結愛!?どうしたの!?」







…なんだよ。

俺はそんなに軽そうなのかっつうの。

俺はもう…沙耶以外見れねぇんだよ。







「さーやちゃん?」

「うっ…蒼…」

「お前こそ彼氏、できんじゃねぇーの?」

「…出来ないよ」

「へー」

「好きな…人いるしっ//」

「……は?」






好きな人?

そんなの聞いてねぇーよ。

…俺…無理じゃん。







「…へぇ好きな人」

「ちょっと蒼斗、怖いんだけど」

「うるせーよ、結愛。」

「おいおい〜結愛に当たんなよ」

「さっケーキ全部食べちゃうよ〜」

「太んぞ、沙耶」

「うるさいっ蒼!」






アメリカに行って、好きな人もいて?

―……ふざけんなよ。

離れちまうのに…好きな人がいるってなんだよ。







「あーお?」

「沙耶」

「うん?」

「もっかいキス、して」

「おい蒼斗、やめろ」

「…嫌いならしなくていい。殴ればいい」

「蒼斗…そんな賭けやめなさいよ」

「好きなら…どこでもいいからキスして」






どう思われたって構わない。

軽蔑されても…いい。

お前は…どう思ってる?






「…出来るわけない」

「嫌い?」

「…違う、よ…」

「じゃあなに?」

「…ほら、ケーキ…」

「ケーキじゃねぇだろ!」



つい声を荒げてしまった。



「…蒼…」

「なぁ…好きなやつって誰…?」






沙耶の言葉一つでこんなに変わるなんて。

…沙耶が、好きで溜まらねぇよ。