「あ、沙耶。」
「ん?」
「明日試合だから早く起こして」
「…やだ」
「はぁ!?」
「だって眠いもーん」
「…あー、わかった。明日は自分で…」
「うん、そーして!」
時々沙耶ってすごい冷たい気がする。
…時々。
本当に時々…。
結構キツいんだよな、これ。
「見に来るだろ?」
「マネだし」
「じゃあお前も早く起きろよ」
「…他の子いるから大丈夫」
「沙耶?」
「ちゃんと行くから大丈夫!」
一瞬沙耶が元気なくなった気がした。
…つか明日は自分で起きるのか。
起きれっかな、俺。
やべー、起きれなかったら超怒られんじゃん。
俺、スタメンだし。
ヤバイよな…。
「…蒼?教室戻ろ?」
「あ、あぁ」
「さっ、メイドだぁ!」
「執事モードオンだな」
「なにそのモードっ」
「んー?俺、王子様だからさこの学校の」
「…意味わかんない」
「って言われてるらしいし。」
意味わかんないって言ってる沙耶だって、
この学校の“無自覚姫”って言われてるし。
モテてんの自覚してねぇからな。
全く、無自覚ほど怖いものはないな。
+鈍感=天然だな。
「さーや」
「なに?」
「男テーブル行くときは、“メアドお断り”って言っとけ」
「め、メアドお断り?」
「そ。ついでに“ちゃんとしたもの頼め”って」
何回か沙耶を注文したバカな奴がいたからな。
…沙耶も沙耶だから、
“えっ?あたし!?どうすれば…っ”
とか言ってたし。
いやいや、ヤるだけだから。