「ただいま」
「…あ!お母さん帰ってきたよ!」
「遅かったじゃない!」
「9時だぜ、まだ」
「沙耶ちゃん振り回して!」
…は?
なに言ってるんだ?
俺は沙耶を振り回してねぇっつの。
「沙耶と一緒じゃないんだけど」
「え?」
「蒼兄…それ本当?」
「当たり前だ。沙耶が居たら8時までに帰ってくる」
…なんなんだ?
なにを暴れてんだよ。
人が帰ってきた早々。
「…沙耶…一緒じゃないの…?」
「おばさん?」
「蒼にぃ!!沙耶姉は!?なぁ!!」
「…は?え?」
目を真っ赤にさせてるおばさん。
焦り我を失ってる蕾都。
…沙耶…?
「沙耶…ちゃん…まだ帰ってきて…ないのよ…!」
「………え」
――ドクンッ…
嫌な脈打ち。
…沙耶がまだ帰ってきてない?
もう9時だろ?…なぁ。
――ガチャ…
「「沙耶が見当たりません…っ」」
「聖也…?結愛?」
「あ、蒼斗!!」
「…沙耶を1人で帰らせたのか、聖也」
「いや…」
――ブーブー
「沙耶姉から…」
「内容は!?」
「“遅くなります。大丈夫、朝には戻ります。心配しないで下さい”」
…朝には?
今すぐ、帰ってこい。