「…綺麗だな、沙耶」
「蒼ちゃん…ここは沙耶と蒼ちゃんの秘密基地ね」
「おう!…なんかあったらここにこよーな」
「うん!」
まだ幼いあたしたちが見つけた場所。
秘密基地なんて言っても、全然秘密じゃない。
でも…それでもあたしたちにとっては“秘密基地”だったんだ。
「お星さま…」
「遠いからとれないよ、沙耶。」
「…うん」
「僕たちは離れないから大丈夫だな」
「…蒼ちゃん…」
「ちゃんと届くもんな」
「…うんっ!」
ねぇ違うんだよ、それ。
本当は……離れてしまうんだよ。
届かないんだよ…?
気持ちに気づくの遅すぎたんだね、あたし。
「…ふぇ…」
涙が邪魔して星が見えない。
…涙が何度も頬を伝う度、
胸も締め付けられるように痛くなる。
――届かない。