「…沙耶ちゃん、別れよう。」
「……うん」
「じゃあ俺はもう少しここにいるから教室に帰りな」
「……バイバイ」
どうしてそんなあっさり別れを告げれるの?
あたしにはそれがわからない。
好きな人に別れを告げるなんて…。
あ、違うか。
好きだった人、になるんだ。
だから別れを告げられるんだ。
――ガラッ
「藍田おそ…ってまたか」
「せんせぇ…」
「よし、席に座れ。遅刻は見逃してやる」
遅刻免れた〜!
あたしってば女優になれるかも!?
「なに沙耶、フラれたの?」
「…うん」
「まぁた!?」
「…結愛…王子様じゃなかったんだね」
「もうそういう年じゃないよ?沙耶」
「沙耶だから仕方なくね?」
ゲラゲラ笑う聖也。
…なんて失礼な。
「また俺?」
「…うん。なんかごめんね?蒼」
「あー別に?俺もまた沙耶でフラれたから」
「またあたし!?」
そう。
あたしたちがフラれるときは絶対に関わってくる。
蒼がフラれる時はあたしが関わって。
あたしがフラれる時は蒼が関わって。
…なんかいつもそう。
「「幼なじみって…」」
2人が哀れんだ目で見てくる。