「沙耶、好きだ。」
「あたしも好き」
…違うんだ、沙耶。
俺の求めてる“好き”は沙耶が言う好きと違う。
もう女としてしか…沙耶を見れねぇよ。
「…ん、俺ら幼なじみだもんな」
「蒼は、ピンチになったら助けに来てくれるね」
「…当たり前だろ?」
「蒼は、ヒーローみたい!」
無邪気に笑うその笑顔も独り占めしたい。
…ちっせぇときから好きだったんじゃねぇかよ、俺。
「沙耶〜!!」
「結愛っ!」
「片ついちまってたらしいな」
「壁殴っただけで悲鳴上げてどっか行きやがった」
「…ん、可哀想だから見ないふりした」
「お前なー」
沙耶は襲われそうになってたんだぞ?
…つか…こんな視聴覚室にノコノコ着いてきてんじゃねぇよ、沙耶。
「沙耶。」
「うん?」
――ズキュンッ…
“うん?”ここまではいいだろう。
なぜ、なぜ…首を傾げるんだ。
いや見慣れてきたはずだぜ、俺。
…チッ。
自覚したから…可愛く見えんだろ、もっと。
「男にノコノコ着いて行くな」
「だって…話があるって」
「話がある=告白。この公式を即座に頭ん中入れろ」
「なっ!限らないよ、そんなの!!」
「…しかも絶対に視聴覚室は来ちゃダメだ」
「…なんで?」
…教えてやるべきか?
視聴覚室は別名、
“学校内のラブホテル”。
まぁ先生だって来ねぇし、第一内鍵だ。
職員室で借りねぇ限り開けられる事はまずない。
しかも防音。
…完璧だろ、学校内のラブホテルは。