「沙耶っ…!」

「っ!?」




俺の姿を見て驚く沙耶。

…だよな。




「あ、蒼!?じゃなくって…」

「木崎はやめろって言ったじゃん、沙耶。」

「言ってな…」

「木崎くんとは幼なじみなのって言ってたけど?」

「い゛っ…盗み聞きはだめなんだよ!」

「聞こえてきたんだから、盗みじゃねぇ」

「…蒼、ごめんね」

「なにが?謝るな」





…謝るのは俺の方なんだし。

俺、沙耶には笑ってて欲しいからさ。





「蒼…」

「ん?」

「あたし…蒼がいないとだめみたい…。」

「俺も」





互いに側に居なきゃ安心出来ねぇのに、

俺たちは離れようとした。

…とんだ、バカだな。




「蒼っ…」

「泣くなって」

「はっ!小夜ちゃん!」

「小夜がどうした?」

「かかか彼女だよ!こんなの浮気だ…!」

「大丈夫だろ。俺ら幼なじみだぞ?」

「あ、だね!」





“幼なじみ”そう言ったときツキンと胸が痛くなった。

…なんだ?

ま、いっか。

今はまた沙耶と居れるのが嬉しいしな!





「蒼ー今日…」

「帰るか、アイス奢ってやるよ」

「本当!?やったぁー♪」




――ドキッ


な、なんだ!?

ど、動悸!?

俺の心臓大丈夫かよ!





「蒼?どしたの?」



俺の顔を覗き込むように見てきた沙耶。

…やばい、キスした…っておーい!!

変だろ、それ。

俺…飢えてんのかよ!





「蒼!行くよ!」




俺はよくわからない感情と共に沙耶と教室へ戻った。