「さ―…」




“沙耶”って呼ぼうとした。

だけど言えなかった。




「蒼ぉ…うぅ…」

「…沙耶…?」




沙耶が俺を呼んだから。

思わぬ事でビックリした。

…いやわかってた、少し。

沙耶は昔から泣くと俺の名前を呼ぶから。





「…寂しい…よ…蒼ぉ」



泣かせたくないって人一倍思ってるくせに、

俺が1番泣かせてる。

…沙耶、泣かないで。

ごめん、沙耶。


心の中で何度も謝りながら俺は、沙耶の元へ走った―…。





「…本当に世話の焼ける親友だなぁー」

「…聖也!ここに居たの?」

「…ん、結愛」

「もう、すごい探したんだけど!」

「あー、悪ぃ」

「…思ってないくせに」




そういや俺たちもあいつらのように時間掛かったな。

…幼なじみって近くて遠い存在。

越えたくてもうまく越えれない壁がそこにある。

越えちゃいけない一線を越える恐怖。

…ある意味幼なじみってポジションはよくない。






「結愛」

「なに?」

「スカート短い」

「普通だってば!」

「…下げろ」

「嫌よ!」




付き合ったって素直にならない所は変わらないけど、




「…結愛、俺暑いから第三ボタンまであけたい」

「なっ!だめ!」

「でもなんか今だけ暑いっつーか」

「…やだっ」

「…ん?」

「聖也がもっとモテちゃうもん!そんなの嫌っ…」




幼なじみん時は見れなかった、

甘えた感じとかヤキモチとか、可愛い一面が見れたりする。

…これが堪らなく可愛い。



「しねぇーよ。…キスしよ?結愛」

「…ふ、んん!?」



許可なんか要らない。

俺は、今したいんだから、ね。