「えっと…あの…」



人を傷つけることを嫌う沙耶。

…沙耶にんな役目させんなよ。




「沙耶ちゃん…やっぱり木崎が好きなの?」

「……え?」




俺ぇ!?

なんで?

どこから俺出てきたんだよ、マジで。




「お前らって…喧嘩しても関わるのな」



同情の眼差しで俺を見てくる聖也。



「…うっせ」



んな目で見んじゃねぇー。




「違うよ…?あ…木崎くんとは幼なじみなの」




…“木崎くん”。

2度と呼ぶなって言ったのに。

お前には木崎くんなんて呼ばれたくねぇ。

お前だけには…!




「木崎くんなんて呼びたくないんじゃないの?」

「…や…めて…!」

「ごめん、沙耶ちゃん。」




男はそれだけ残して去った。

…泣いたら放置か?

つか…泣くな。

泣かれたら困る。