「沙耶が怯えてるんだけど」

「…怯えてる?見間違いじゃない?」

「お前、沙耶に何かしたのか?」

「…なにもしてないけど。むしろ僕だとおもうよ」

「は…?」

「なぁ、沙耶。」

「た、くみ…行こう。」

「おい、沙耶!」

「君は、なにか勘違いしてるようだけど…」

「勘違い?」










ピクッと眉が上がる。


…なにが勘違いだって?

なにも勘違いしてないと思うけど。











「沙耶は、君じゃなくて僕を好きなんだよ?」

「……っ別に勘違いしてねぇよ」

「ふぅん。それならいいけど。じゃあ、沙耶は行こうか」

「う、ん…。バイバイ、あお……」

「あぁ」










なんでそんな悲しそうな顔してるんだよ。


好きなんだろ?…ソイツを。


俺にそんな顔、向けるなよ。









――パシッ……






「え…?」

「君、なに」

「沙耶が、俺と居たいみたいなんで」

「は?」

「あ、あお…!」

「だから、今日は預からせてもらえません?」

「沙耶。」

「あ、あお!あたしは…」

「そんな目して訴えてもやめないよ」

「………」

「君、なんのつもり?沙耶は、僕のなんだよ」

「あぁ。……で?」

「っだから僕と帰るんだよ!」

「1日くらいよくないですか?」

「……ダメだ」

「そんなに束縛しなくてよくないですか?」

「束縛…?」

「あお!!」

「とって喰うつもりなんてないんで」

「…っ君、腹立つね」










どんどん剥がれてく、仮面。



きっとこいつは沙耶を何かで縛ってる。