「はぁ…っ…蒼、斗く…」
「走って来なくてもいいっつってんじゃん」
「だ、って…」
「ふっ…一生懸命すぎ」
優しく微笑む蒼斗くん。
……カッコいいなぁ。
こんな人があたしの側にいて、あたしを救おうとしてくれてるんだ。
そう思うと、胸がポカポカする。
「沙耶来年帰って来るってさ」
「来年!?」
「そ。…楽しみだな?」
あたしじゃ出せない、笑顔。
ちょっとだけ、チクリと胸が痛む。
…わかってる。
けどあたしは蒼斗くんを好きなんだもん。
簡単に諦められないもん。
唯一、あたしが好きになれた人だから。
「よかったな?会えて」
「うんっ…」
「…さ、サボろ?」
「えぇっ!?」
「まぁーおいで?」
「…っ///」
そんな優しく甘い声で言われたら逆らえない。
……違う、逆らいたくないだけなんだ。
蒼斗くんに抱き締めてもらいたいだけ。
今だけでいいから1番近い存在でいたい。
―――ズルくて、最低。