「沙耶たちは帰ったのか?」
「…あぁ。」
「つまんねーな。…なぁ?蒼斗」
「…うるせー」
「あらあなた。蒼は別れたのよ?」
「なに!?…まぁそういうこともあるか!」
「なんだか別の子を好きになったとか…」
「ちげーよ!!」
「ちょっと急に怒鳴らないで!」
「…母さん、そっとしとこう」
誰が好きになったって?
ふざけんなよ。…俺は沙耶が好きだ。
でも…今のままじゃダメなんだよ。
「…くそっ!」
「お兄ちゃんー携帯鳴ってる」
「…あーサンキュー」
つか…こんなときに誰?
俺いまいつもの俺じゃいれねーよ。
――もう…心が折れちまいそう。
「はーい」
『…蒼斗くん?』
「清?」
『あの、ね…沙耶ちゃんが…』
「沙耶なら行った。」
『…蒼斗くん…?』
「ごめん。…なんか用事だったんだろ?」
『…あたしのために、別れたの…?』
「……え?」
『沙耶ちゃんが、“蒼斗が救ってくれるよ”って』
「……清、明日お前ん家に迎えに行く」
『…うん、わかった』
沙耶はどこまでしてくれたんだろう?
どんな思いで…?
沙耶がやってくれてんのに俺がこれじゃダメだよな。
――ごめん、沙耶。
俺これから始めるよ。
「母さん!飯!」
「今日はすき焼きよっ♪」
「えー!あたし沙耶姉の肉じゃが…」
「肉じゃがも出すわ♪」
「やったー!!」
少しだけ、浮気する。