――ガチャ
俺はノックもなにもしないで扉を開けた。
案の定、沙耶はびっくりして固まってる。
「…沙耶」
「来てたの?」
「…今な。」
「どうしたの?機嫌悪くない?」
…悪い?
悪いってもんじゃねぇぞ。
今までにないくらい悪い。
「…沙耶」
「ん?」
「なんで、泣いた」
「……なんのこと?あたし泣いてないじゃない」
意地を張るんじゃねぇよ。
…素直な時は素直なのに。
「沙耶。…2度と木崎くんなんて言うんじゃねぇ」
「え?でも彼女さん…」
「あいつの事なんて気にすんな。」
「ちょっと…彼女だよ?ひどいよ?」
…んだよ。
お前は俺がいなくても平気なのかよ?
俺以外に…抱き締められても平気なのかよ?
…安心すんのかよ。
俺とお前は違うのかよ?
「…蒼」
「……」
「もー怒ったの?」
そう言ってぷぅーと唇を尖らせ拗ねる沙耶。
…ほら。
可愛い。