「…沙耶?」

「あっ、起こしちゃった?ごめんね」

「まだ寝てれば…?」

「ううん、お昼に乗って帰るから」

「昼!?早くないか?」

「…そう?」







切なく微笑む沙耶。

…俺はバカだなぁ。

これから沙耶が何を言うのかわかっているのに。

その為に早く帰るのに。

無神経だよな…。

幼なじみの時が長かったから…。







「蕾都ー!」

「姉ちゃん準備出来た?」

「うん、運んで!」

「ねみー。」

「蕾くんっ…」

「蒼夏泣くなよ…」

「だ…ってぇ…」

「まだ少しは時間あるしさ」

「…蕾くんっ…」

「姉ちゃん荷物」

「…蒼、2人でデートしてきたら?」

「え?」

「蒼夏と過ごして?荷物くらい大丈夫!」

「でも姉ちゃん…」

「蒼に手伝ってもらうから!ね?」

「おう!」

「ほら、行った行った」







半ば強引に家から出した沙耶。


沙耶らしくて笑ってしまう。







「ちょっとぉー!笑うとこないからっ」






ぷぅーと頬を膨らませる沙耶。

いや怒ってる?

全然怖くないんだけど。

むしろ可愛すぎて悶えるんですけど。







「ちょ…蒼!?」

「……沙耶、悪い。」

「え?」

「…可愛すぎて怖くない」

「……へっ///!?」

「赤くなるのも可愛すぎ」

「なななっ…!」

「沙耶、朝飯食お?」

「…うん!」







朝飯は沙耶の手作り。

卵焼きに味噌汁に肉じゃが。

…朝から凝ってんな。






「朝からうまそー!」

「ふふっ♪」

「でも凝ってんな?」

「肉じゃが、お昼も食べれるでしょ?ナツコさんたちは夜帰ってくるって言うし」

「…さんきゅー」

「あ、さんきゅーの発音はThank Youだよ」

「Thank You?」

「そう!それだけ教えたげる!」

「なんでThank You?」

「……なんででしょう?」






そう言って意味深に微笑む。

…Thank Youがなんなんだ?

訳わかんねー。