リビングに行けば台所に沙耶の姿。

蒼夏と蕾都はソファーに座っていた。







「蒼夏、ナツコさんたちは?」

「お母さんなら今日お父さんと1泊2日の旅行中」

「…そっかぁ。なら4人分だ」

「姉ちゃん今日なに?」

「うーん……なにがいい?」

「オムライス!」

「ビーフシチュー!」

「2人とも意見が違うんだけど…?」

「蒼夏!姉ちゃんのオムライス超うめぇんだぞ!」

「ビーフシチューな気分なんだもん!」







なんだかそんな光景が遠く見えた気がした。

――沙耶。

沙耶は明日帰ると言うのに、俺はこのままなにもしないまま…?







「じゃあ今はオムライス。夜はビーフシチュー。これでどう?」

「「乗った!!」」

「よしっ!じゃあオムライス作ろっかな」







――よくない。

このまままた1ヶ月離れるんだ。

1ヶ月会えないんだ。







――ピンポーン…



「沙耶ーっ!」

「聖也!?」







ドアを開けた瞬間走って沙耶に抱きつく聖也。


――イラつく。

てめぇーは沙耶の彼氏かっつーの。

沙耶の彼氏は俺なんだっつの。







「やっベー!相変わらずかわいい!!」

「…もうお世辞が上手なんだから」

「…天然も相変わらず。いやレベルアップしたかも?」

「聖也!…まず離れて?卵焦げちゃう!」

「おっ…わりぃ。あ゛」

「聖也さーん…こんちわ」

「……や、やぁ蕾都くん」

「なに姉ちゃんに抱きつ…」

「沙耶に引っ付くんじゃねぇーよ、聖也。」







咄嗟に出た言葉。

やっぱり嫉妬って人を変えちまうよな。