「……拓海がそんなにいいかよ」
「……ごめん、蒼。あたしちょっと頭冷やしてくる」
いくらなんでも言い過ぎた。
……蒼が勘違いしても仕方ないのに。
ダメだなぁ…あたし。
すぐ感情的になって。
――グイッ…
「わっ…!あ…蒼?」
部屋を出ていこうと立ち上がると蒼に腕を引っ張られた。
急な事に体はついていかず蒼の胸にダイブ。
「……行くなよ」
「…蒼…」
こんな蒼の弱々しい声聞いたことない。
――蒼。
「行かない…行かないね。」
「沙耶……好きだ…」
「……あたしも蒼が好き!」
「……沙耶」
「んっ…」
顔を上げれば重なる唇。
――なんでだろう。
なんで……こんなにも切ない気持ちになるんだろう?