「……沙耶?」
「……うんー?」
「どうした?なんか考え事か?」
「…ううん、違うよ」
言えないよ、こんなこと。
……蒼には言えないよ。
ごめんね、蒼。
一緒にいていいのかなぁ…?
蒼と一緒にいちゃダメなんじゃないかな。
「沙耶、オレンジジュース」
「…あたしはリンゴジュースだよ」
「…あっ、わりぃ」
今の蒼の頭の中にも、心の中にもいるのはあたしじゃない。
……清ちゃんだよね。
あたしなんかじゃない。
清ちゃんがオレンジジュース好きなんだよね?
「部屋さ…」
「あたし1人でいいよ」
「…え?」
「蒼とは寝ないよ」
「…あ、そっか」
「ごめんね。」
「いや……その方がある意味助かるっつーか…」
「え?なに?」
「なんでもねぇーよ!」
「変なあおー」
「…うっせ」
別れたとしても、
蒼とはこうして幼なじみでいれるよね?
そんな気がしているのはあたしだけ?
「うっわー!このドラマまじねぇ!」
「なんで?」
今は蒼と一緒にドラマを一気見中。
「別れるならさ…そこまで覚悟してんならさ…」
「……っ」
ドキリと胸がなる。
このドラマのヒロインはまるであたしみたいで。
……してるなら?
「ひでぇ言葉で相手を傷つけて…相手に嫌われろって思うね」
「……っはは!蒼はきついね!」
「は?別に沙耶に言った訳じゃねぇよ」
「…うんうん…わかってるよ」
「おう」
胸に冷たい槍が刺さった。
……嫌われろ。
あたしは…蒼に嫌われなければいけない?
幼なじみにさえ戻れない?
でも……わかってる。
わかってたんだよ。
「つか…あの男もしょーもねぇ」
「かっこいいでしょ」
「は…はぁ!?」
「今を大人気だもん」
「沙耶もミーハーなところが…」
「蒼だって、綺麗とか言うでしょ?」
「言わねーな」
「か、可愛いなぁとか!」
「ねぇーな」
「…いやいやいや!」
うそだよね!?
普通思うよね?
なんで!?
「正直に言っていいんだよ?あたし妬かないし」
「……妬かねぇのかよ」
「え?」
妬かないよ。
あたしだってカッコいいとか思うし、言うし。