「じゃあ結愛、小夜!蒼のところ行ってきます!」
「いっへ…らっはい…」
「…ばーい…」
朝8時30分。
――沙耶、結愛宅を出る。
蒼からメール来てたぁ♪
―――――
from 蒼
今日は俺ん家な。
―――――
なんて素っ気ないメールだったけど嬉しい!
「寝よ…あたし…」
「あたしも…」
その頃、結愛と小夜は爆睡。
“8時に起きるなんて拷問だよ”
……と思ったのは沙耶には内緒。
「…んーあれ?」
蒼の家の近くの公園に蒼発見!
…もしかして待ってくれてる?
蒼…!
やっぱりあたしは蒼が好き。
蒼じゃなきゃ――………。
「あ―……」
「蒼斗くんっ」
「清!」
「……え…」
蒼が待ってたのは…清ちゃん?
でもその前に……本当に名前で呼び合ってた。
“蒼斗くんっ”
って呼べば蒼は、
“清!”
ってとびきりの笑顔で。
――清ちゃん……。
「…もしもし蒼?」
『沙耶、いつくるんだ?もう家出たならつく頃だろ?』
…蒼は酷いね。
清ちゃんといながらあたしに電話してくるなんて。
あたしね…蒼に会いたくて会いたくて…。
蒼に会えるって思ってたからアメリカでも頑張ってるのに。
「ごめんね…あと少しかかりそう…」
『今どこ?』
「学校の前の公園」
『あーあと10分はかかるな』
「…蒼…ごめんね…」
『謝んなくてよくね?』
――蒼。
大好き。
蒼から離れるなんて出来ない。
蒼の隣を誰かに譲るなんて―……。
だからあたしは、嘘をつこう。
「蒼、走っていくね」
『おう!』
……あたしだけが蒼に会いたかったのかな?