「勘違いしてんなよ?」
「…っ!?」
胸ぐらを掴まれる。
……勘違い?
なにをだよ。
聖也は相変わらず考えたような感じで。
「姉ちゃんはてめぇが大好きなんだよ!!俺が腹壊した時1人で心細いはずなのに拓海さんを呼ばなかった!」
「……」
「意味がわかるか?」
「……知らねぇよ」
「てめぇに誤解されたくねぇからだよ!アメリカにてめぇが居るわけでもねぇのに!」
「…っ」
「その日はどしゃ降りで雷もなってた」
「雷!?」
沙耶は雷が大嫌いだ。
怖くて今でも震えて、悪いときは気を失う。
……1人のときに雷が?
「でも姉ちゃんは拓海さんを呼ばなかった!!」
「……っ」
「家に帰ってリビングで気を失ってる姉ちゃん見て怖かった!!」
「蕾都…」
「てめぇが好きで仕方ねぇんだよ、姉ちゃんは!!」
そう言われてパッと頭の中が綺麗になった。
今まで考えてきたことがバカバカしく思えた。
……俺だって沙耶しかいねぇはずなのに。
なのに…なんで…突き放したんだ!!
「……後悔先に立たずだな、蒼斗」
「くそ…っ」
「明日、姉ちゃん用事ないはずだぜ」
「親戚は?」
「あれはべつに行かなくてもよかったし。…早く行っても平日だから蒼にぃに迷惑かけるわけに行かないとでも思ったんじゃねぇの」
「沙耶…っ…」
「清とか言う女に心揺らいでんじゃねぇよ」
「はっ!?」
「蒼夏から聞いたし」
「…蕾都…」
「あんま変わりすぎんなよ」
「……結愛たち気付いてると、いいけど…」
「大丈夫だよ、小夜さんたちなら」
「……なんで」
その理由が全くわからない。
なんで結愛たちなら大丈夫なんだよ?
わけわかんね。