そんなあたしの楽しみは月に1回だけお兄ちゃんに会えること。
「お兄ちゃんー!!」
「清!元気だった?」
「うんっ!今日は家に来る?」
「…いや、行かない」
「来て…くれないの?」
「…悪いな、清。」
「…お兄ちゃん」
離婚してから1回もお兄ちゃんは家に来ない。
お母さんにも会ってないと思う。
「わぁーおいしっ♪」
「…んとに可愛いな、清は」
「え?」
「今日は清の好きなもん買ってやる」
「本当に!?ありがとう!」
「…可愛い妹のためにさ」
「お兄ちゃん?」
「…いや?なんでもないよ」
…お兄ちゃんはなんか隠してる。
だけど…問い詰めちゃだめなような気がして。
お兄ちゃんも“なんでもない”って拒否した。
だから……聞かなかった。
夕方になった頃。
「清の好きなもん…まだ買ってねぇじゃん」
「…いらないっ」
「なんで?」
そしたらこのまま居てくれるでしょう?
――お兄ちゃん。
やっぱり一緒に居てよ。
あの家にあたしの居場所なんかないの。