「…拓海…ごめ…」
「謝んな。」
「…っ行く、ね!」
この空気から早く抜け出したくて。
拓海のことを直視できない。
拓海に笑顔を向けれない。
――あたし今酷い顔してるに決まってる。
「…蒼っ…」
「姉ちゃん?」
「蕾都っ?」
「…なんで泣いてんの」
低い声、探る瞳。
――…蒼に会いたいの。
蕾都―……。
「姉ちゃん!?」
「らい…とぉ…」
「どうしたんだよ!?どっか痛ぇのか!?」
さっきより泣くあたしに動揺してる蕾都。
「会いたい…のっ…」
「……姉ちゃん…」
「蒼斗ぉ…っ」
あたしは頑張れない。
…蒼斗が側にいてくれなきゃ頑張れない。
蒼…蒼…。
どうしたらいいのかな?
「何が…あったんだよ…」
ただポツリと蕾都の声だけが部屋にこだまする。
「…蕾都、行こ。空港」
「……あぁ」
蕾都。
…あたしは言わない。
蕾都に心配かけたくない。
弟に心配かけたくない。
姉だもん、これでも。
――そしてあたしたちは日本へ向かった。