人造人間とはいえ、限りなく獣に近いフェンリル。

その本能が悟る。

…この男は人間ではない。

生物的には人間であろうが、既に心の中には鬼を棲まわせている。

実はあの鬼の面こそが素顔なのではないか。

そう思う程に、羅刹の殺気は尋常ならざるものだった。

食いつかれた肩をグルンと回し。

「来い、これしきの傷は手負いのうちにも入らん」

羅刹は挑発する。