今にも食いちぎられそうな羅刹の肩の肉。

しかし。

「っ!」

フェンリルは咄嗟に羅刹から離れる。

「…まるで野生の獣だな…勘がいい」

見れば羅刹は二本貫手で、背後のフェンリルに目突きを繰り出そうとしていた。

流石のフェンリルも、目を潰されるのだけは嫌らしい。

「ならばどうして欲しい…?」

ゆっくりと振り返る羅刹。

「喉を潰されたいか…アバラを砕いて内臓を傷つけられたいか…鳩尾を抉られて貫通されたいか…好きな敗北を選べ」