人はある日突然選択を迫られる。


右に行くべきか、左に行くべきか。



追いかけるべきか、追いかけざるべきか――。




甘い匂いが残る部屋で、ただ呆然とドアを見つめていた。

跳ねるように出て行った月島の艶やかな長い髪が、まだなお網膜に焼き付いてる。



「見抜かれてた……?」



ベッドの上で、間抜けにも裸のまま、オレはどうすることもできずに立ちすくんでいた。