上司である昴は、
おもむろに立ち上がり
秘書である武の前に歩み寄る。

チラリと武を見る。

挑発するように、ポンッと武の方に手を置いて、
わざとらしく、ため息を漏らす。


・・・・。
何なんだ。

武は思わず顔をゆがめてむっとする。


「なんで、レイナ嬢とは何もないんだ?」


「・・・・・は?」

「おまえ、基本的に来るもの拒まずでいろんな女と関係を持つだろう?
 レイナは どうしてダメなんだ?」

「・・・そういわれましても。仕事相手で」

「なぁ、武。レイナ嬢は本気だって
 頭ではわかってるから 手を出さないのか?」



しばし、言葉の意味を考える。

上司である昴は憐れむように武を一瞥する。

「なぜ、こんなにも仕事ができるし早いのに、
 純愛。には弱いんだ?」


「は??」


「そもそも、レイナはお前のストライクゾーンに入ってるだろ?
 なんで、ダメなんだ?」

「はぁ???」


なにいってるんだ、こいつは。