レイナはにっこりと笑って、
「眼鏡なしの素顔を見たのは
 初めてだと思うわ。」

あぁ、忘れてた。

一度家に帰ったから、仕事用の伊達メガネをすっかり忘れてた。
一応誤っておくか。

「・・・申し訳ありません。」

「なぜ謝るの?
 変な、武さん。」

クスクスとレイナが笑う。

レイナ様ーーと、奥の玄関先から
初老の女性が大きな花束を持って現れた。

「もう、いきなり走り出しますから
 年寄りにはついていけませんよ。まったく、落ち着きのない・・・」

「ごめんなさい、西口さん。
 だってぇ。
 武さんが来たっていうから。」

「うれしいのはわかりますけどね。
 もうちょっと落ち着いた大人の女性というものを・・・」

「はぁい。」

なんて、口を軽くとがらせて不満そうにうなずく。

ふぅん。今日はいつもと違って落ち着いたアイボリーのワンピースなんだな。
ブラウンのリボンがところどころにあしらわれて
上品だ。


「そうそう、武さん。
 今日は素敵な花束もありがとう。
 
 先ほど届いて・・・
 私、うれしくて。

 武さんの到着を楽しみにしていたんですよ。」


・・・・・花?