****

若干雲がかかっているが
まぁ、いい天気だった。


風が心地よく吹き抜けて、
武はマンションの外へとでた。
いつもと変わらぬ朝。

対面する道路に
武の上司の車が止まってなければ、だが。



・・・いたよ。

はぁっと静かにため息を漏らす。


足早に
メタリックブルーのいわゆる「高級車」に駆け寄る。
と同時に歩道側の
窓が静かにあく。


「・・・・・・・。
 おはようございます。昴様。」

出来るだけ、
無表情を務めたつもりだろうが、
不愉快オーラ全開である。


「あはは。朝から低血圧だな?」

楽しそうに上司である昴は
乗れというように
親指を立ててくいっと後ろをさす。


「・・・昴様。」

おいおい。

どこに上司の運転に普通に乗ってく秘書がいるんだよ。

口には出さないが、思いっきり上司を睨みつけ
一歩後ろにさがり、
軽く首を横に振った。