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「きったねーぞ、武。」

「・・・。
 そうですね。

 では、こちらにも目を通していただいて。」


上司である、昴は、恋人である『志保さん』にすごーーく弱い。


弱いっていうのは立場とかではなくて、

めちゃめちゃ惚れているから
彼女と会うためだったら
仕事でも、なんでも、実力をだしてさっさと片付ける。


だから、先ほども、
電話差し上げて、


『残念ながら、仕事が押しておりまして、
 今夜の食事をキャンセルーー』

と、言ったら
昴はあわてて受話器を取り上げて、

『まてまてまてっ。
 できる!!

 夕方まで・・・なんなら、4時には仕事終わるから

 ん?
 あ。そう。
 じゃぁ、6時ね?了解。』



アホだな。

どーせ、志保さんも
仕事だから、六時までは無理よ?とか言われたんだろうな。