かわいい、甥っ子と姪っ子と
うちの両親のために、
ってわけじゃないが。
ま。
いいか。
「では、始さんーーー」
いつもより、少し大きな楽しそうな声で呼びかけてやった。
そして、
仕事用の銀縁メガネをそっと外して
スーツのポケットにしまいながら、
普段見せないであろう 満面の笑顔まで添えてやる。
「では、始さん。
私は、おとなしく引き抜かれましょう。
ご出発はいつです?」
にっこり。
昴様が、びしっと固まる。
弟である優でさえ、言葉を失った。
始さんは、びっくりした顔をしたが、
ちょっと眉間にしわを寄せた。
「---本気か?市川、武。」
「えぇ。
私の能力を高く評価していただき ありがとうございます。
喜んで、あなたの秘書として、
手足として、働きましょう。」