どうせ、始さんは俺が断ることなど想定内だろう。

だからーーー

「じゃ、代わりに 君の弟を
 僕の秘書として 連れて行くよ。」

だから、弟を連れてきたんだろう。


「えぇぇっ!!」

弟の悲惨な叫びがこだました。





はぁ。

そーゆーと思った。

「あ、あのっ。武兄さん!これは?」

「・・・焦るな。優。
 はぁ。始さん。弟にも仕事がございますが?」

「--大丈夫。彼の上司とはもう話を付けてある。
 それに、家族も手厚く迎え入れよう。
 学校の編入もこちらで持つつもりだ。」


「ちょっと、え?なに?」

あわてる、弟。

だよな。


こういう 横暴にすっかり慣れてる俺がいる。

絶対、こいつらのほうがおかしいよな。


ははは。

「ちょっと待ってよ。始兄さん!
 いくらなんでも!!」

昴様が珍しく、
始さんにたてつくようにぐいっと腕をつかむ。

が、
すぐに
ぱしっとはじかれて、「--昴!」
と睨まれた。