上司である昴があわてて立ち上がって、
駆け寄る。


珍しく、ものすごく動揺して不安な瞳。



「--昴。
 僕、やっぱり 市川、武。気にいった。

 だから、引き抜きたい。」

「兄さん!それは、ダメだといってるだろ?」

「--ふ。市川、武の 意見は聞いてないだろう?」



はぁ。

もう、面倒だな。


開けたドアをまた静かに占めて
始さんに向きなおす。


嫌な予感。


「市川、武。
 君を引き抜きたい。僕とともにいかないか?」

「・・・お断りします。」

即決。
昴様より 読めない男の隣で仕事なんて、ごめんだ。

「そういうと思った。」

楽しそうに、にやりと 笑った。