で、上司の昴さんはというと、
奥のほうで 静かに、 おはよ。と 手を挙げる。
「・・・おはようございます。」
じろりと上司を見ると、
そーーっと目をそらしやがった。
怒鳴りたい気持ちをぐっと抑える。
「はぁ。仕方ありませんね。
なにか、お飲みになりますか?」
「悪いねぇ。」
「兄さん、いったいどうなって・・・」
実弟である彼は、焦って 立ち上がるが、笑顔で始さんに
止められてまた座らされる。
うむを言わせない圧力。
ソファーにふんぞり返っている始さんと
その横に、顔面蒼白の弟。
なんだか、不思議な光景だ。
はぁ。
とため息をかみ殺し、
とりあえず、お湯を沸かす。
何でもいいっていうから、水出そうかと思ったけど
そんな失礼は
さすがにしない。
これでも、花京院常務の秘書ですから。
そういえば、
新しい茶葉が増えてたな。
三崎さんが 補充したんだろう。
紅茶の茶葉を入れて お湯を差せば、ふわっといい香りが立ち込める。