始さんは ちょっと つまらなそうに
外の 無駄にきれいな夜景に目をやった。

「--勝手なお願いとは思うが、 
 レイナのことは きちんと別の奴に嫁がせる。
 
 だから、嫌いにならないでやってくれないか?
 あれは、あれで 真剣に君を 愛していたんだ。」

「・・・はぁ。別に、もともと嫌いじゃありませんけど?」

「--は?」

「だから、別に、もともと嫌いじゃありませんけど?」

何を言ってるんだ?
べつに、俺は レイナ嬢を 嫌いだといった覚えはない。

付きまとわれたりが面倒なだけ。

彼女は、『真剣なおつきあい』を求めてるから
俺は それは 否定したいが・・・べつに、嫌いってわけじゃない。




それだからこそ、
気を持たせるような優しさはいらないだろ?


俺は、別に結婚する気はないしな。



「--市川、武。
 ふふふ。あはははっ。」

急に始さんが笑い出した。

なんだ?
ちょっと、びっくり。


「面白いな。君。
 昴が 手元に置いておきたいっていうのがよくわかる。」

褒められている気がしない。
思わず顔をしかめる。

なんだよ。